「あと10万借りれたら、生活をやり直す」と思っとった。審査に落ち続けた時期の話

D1-1 アイキャッチ D1 / もう借りられへん

大手の消費者金融で、審査に落ちるようになった。

次は中小に申し込む。そこでも落ちる。また別のところに申し込む。また落ちる。

この記事は、その時期の話や。借りられる場所がなくなってから、闇金を検索するまでの間に、何を考えて、何をやっとったかの記録。

先に、一番大事なことを書いとく。

債務整理っちゅう選択肢は、知っとった。

知らんかったんやない。一回はやった。それでも二回目は選ばんで、闇金に行った。

債務整理の解説記事は、たいてい「こういう制度があります」から始まる。知らん人に教える前提で書いてある。けど俺にとっての壁は、そこやなかった。

借りられたのは5社まで。そこから先は落ち続けた

多重債務が一番ひどかった時で、借入先は5社やった。大手も中小も混ざっとる。

そこから先は、申し込んでも通らん。名前をぱっと思い出せるのは4社ほどやけど、実際に落ちた数は10社を超えとる。

どの会社かは書かん。「この会社なら通る」っちゅう読み方をされたら、この記事は害にしかならんからや。

なんで落ちるようになるかは、別の記事で触れた総量規制の話や。年収の3分の1を超える借入はできん仕組みで、複数社から借りとったら合算される。ある時点で「これ以上は貸せへん」になる。

2回だけ、店舗に行った

探すのは、たいていまとめサイト経由やった。中小の消費者金融を並べたページがあって、そこから申し込む。ほとんどはWebで完結する。

けど2回だけ、実際に店舗まで行った。そしてこの2つは、通った。

Webと決定的に違うのは、目の前で在籍確認をされることや。

高圧的なことを言われるわけやない。怒鳴られもせん。それでも、勝手にこっちが萎縮しとった。Webにはない緊張感が、あの場にはあった。

「今回はご希望に沿えず」

落ちた通知は、ほとんどこれやった。

今回はご希望に沿えず

メールか、Web画面。それだけや。

電話もない。書面も来ん。画面が切り替わって、終わり。

この一文の絶望感は、すごかった。

怒られるわけでもない。説明されるわけでもない。人生が詰まっていく通知が、事務的な一文だけで来る。ただ、静かに閉まる。

同じ日に、何社も申し込んだ

連続で申し込むと余計に落ちる。これは当時から知っとった。

クレジットやローンの申込情報は、CICの場合、照会日から6ヶ月間残る。短期間に何社も申し込んだ履歴があると、次の審査で不利になる。

知っとった。それでも同じ日に何社も申し込んだ。何回もやった。

当時の頭の中は、こうやった。

借りれないと明日がない。どっかから借りるしかないんやから。

数打てば、どこか拾ってくれるかもしれん。それだけや。

知識より、明日の方が近い。不利になるのは分かっとる。けど不利になるのは未来の話で、金がないのは今日の話や。今日が勝つ。

借りる以外も、全部やった

借入先が減っていくと、金を作る手段の方に広がっていく。

  • クレジットカードのキャッシング
  • リボ払い
  • カードローン
  • 家族や友人に借りる
  • 物を売る

手をつける先が変わっていっただけで、やっとることは同じや。今日の分の金を、明日から借りとる。

生活の方は、先に壊れとった

この頃から、支払いはほとんど滞納しとった。

電気やガスが止まったことも、何回もある。携帯も止まった。

借金の返済に回すから、生活費が後回しになる。順番が完全に逆になっとった。

ここは長く書かん。ただ、そういう状態やったっちゅう事実だけ残しとく。

整理できるのは知っとった。やけど「やったら負け」やと思っとった

ここが、この記事で一番書きたかったところや。

債務整理という制度があることは、知っとった。名前も、だいたいの中身も。

それでも、なかなか行かんかった。理由はこれや。

やったら負け。プライドも許さんかった。人生終わると思っとった。

金がないことより、「整理した人間」になることの方が怖かった。

周りから良く見られたかった。良く見られてないと気がすまんかった、っちゅう方が正確やと思う。借金があること自体より、それがバレることの方が問題やった。

やから誰にも言うてない。この時期、一人も。

債務整理の解説記事は「早めにご相談ください」で終わる。あれは間違いやない。けど、相談に行かん人間が抱えとるのは情報不足やなくて、これや。

「あと10万借りれたら、生活をやり直す」

もうひとつ、当時の頭の中を正確に書いとく。

申し込むたびに、こう思っとった。

あと10万借りれたら、本当に生活をやり直す。生活を変えて、自分が変わる。

まともに現状を見とらん。数字を並べたら、10万でどうにかなる状態やないことは分かったはずや。けど、見んかった。

で、落ちる。また別のところに申し込む。また同じことを思う。毎回「最後にもう一社」やった。

これを書いとって、気づいたことがある。

俺は別の記事で、こう書いた。

整理は借金の数字をリセットする手続きであって、人間をリセットする手続きやない。

借りる時も、まったく同じことを思っとったんよ。10万入れば自分が変わる、と。

金が入れば人間が変わると思っとった。金が消えれば人間が変わると思っとった。どっちも同じ間違いや。金額が動いても、その金の使い方を決める人間は変わらん。

一回目は、任意整理でしのいだ

ここまで「整理を選ばんかった」っちゅう話をしてきたけど、正確に書いとく。

この時期のどこかで、俺は一回、任意整理をしとる。

「やったら負け」と思い続けて、それでも最後は追い込まれた。決め手は利息のカットや分割の説明やない。催促が止まる、その一点やった。

その話は別記事に書いた。
任意整理したのに、また借りた。結局、自己破産した俺の話

催促は止まった。楽になった。けど、それで終わらんかった。

二回目は、任意整理を選ばんかった

整理したあと、俺は同じことを繰り返した。夜の店に行って、また消費者金融から借りた。

そしてまた、審査に落ちるようになった。一周して、同じ場所に戻ってきた。

けど二回目は、整理を選ばんかった。理由が一回目とは違う。

任意整理もしてるし、もう1回任意整理は無理な気がする。

一回目は「やったら負け」やった。二回目は「もう使えん手段や」と思っとった。

そして、ここが一番あかんかったところや。

これを、自分の中だけで考えて決めた。

誰にも聞いてない。事務所に確認もしてない。「たぶん無理やろ」で、選択肢をひとつ消した。

今やから分かるけど、二回目の債務整理を受ける事務所はある。選ぶ方法が任意整理やなくなるかもしれんし、条件も一回目とは違う。けどそれは専門家が判断することで、俺が想像で決めることやなかった。

俺は確かめんかった。そして、確かめる代わりに闇金を探した。

闇金を検索した、あの夜

終わりは、はっきり覚えとる。

翌日、飯を食う金もなかった。正規の消費者金融は、どこも否決やった。

時間は夜中。どこにも連絡が取れん時間帯や。事務所も窓口も開いてへん。

そこで初めて「闇金」と検索した。

やばいとは思っとった。どんな目に遭うかも、なんとなく想像はついとった。それでも押し切った理由は、これや。

ここでも1回だけ借りて、すぐ返そう。

「あと10万で変わる」と、同じ形の考えや。相手が正規の業者から闇金に変わっただけで、頭の中は何も変わってない。

そこから先に何が起きたかは、別の記事に書いた。探し方は書かん。この記事で入口を作りたくないからや。

そして闇金でも回らんくなって、最後は家賃が払えんくなった。そこで初めて親に打ち明けた。返ってきたのは「二度と顔をみせるな」やった。その話も別で書いた。
「二度と顔をみせるな」と言われた。借金を親に打ち明けるまで2年かかった話

どこで止まれたか

正直に書くと、当時の俺では止まれやんかったと思う。

プライドが高くて、周りから良く見られたかった。その状態のままでは、どこにも止まる場所はなかった。

今から見て、止まれた場所があるとしたらここや。

パチンコで負けた時。「取り返す」っちゅう考えが無謀やと、今なら分かる。あそこでやめとけばよかった。

もうひとつは、初めて借金した時。あそこでヤバいと思わなあかんかった。

誰かに言えたのは、ずっと後や。次の日も生きられへん、っちゅう状態になって、やっと親に言った。周りは途中でおかしいと気づいてた。あとから「あの時おかしかった」と言われたからな。けど当時は誰も言うてこんかったし、俺も言わんかった。

今、審査に落ち続けとるあんたへ

俺が言えることは3つだけや。

① 落ち続けとるのは、あんたの人間性の問題やない

信用情報がそう判断しとるだけの話や。数字の話であって、人格の話やない。

俺はここを混同しとった。落ちるたびに、自分が否定されとる気がしとった。

② 「あと1社」で解決すると思っとるなら、それは俺と同じ幻や

10万で解決する状態なら、そもそも5社も借りてない。

一回でええから、数字を紙に書き出してみてほしい。俺はそれをやらんかった。やっとったら、たぶん違ったと思う。

③ 整理は負けやない

俺はそう思えるまでに数年かかった。その数年で、闇金にも行ったし、詐欺にも遭うたし、結局は自己破産した。

先に整理しとったら、通らんで済んだ場所がいくつもある。

ただ、偉そうなことは言えん。俺は止まれんかった側の人間や。「こうすればよかった」は、通り過ぎた後にしか見えん。それでも、通り過ぎた人間が言えることとして、これだけは置いとく。

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最後に

審査に落ち続けとった時期の俺に、一言だけ届けられるなら、これや。

「あと一社」を探しとる時間で、一回だけ数字を書き出せ。

俺はそれをやらんかった。やらんまま、闇金まで行った。

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