「管財になるかは五分五分ですかね〜。頑張ります」
自己破産の申し立てをする直前、弁護士の先生から言われた言葉や。
俺には免責不許可事由があった。借金の額やない。借金の質の方に、ひっかかるところがあると言われた。
先に、話を2つに分けさせてくれ。ここが混ざると、この記事は読めんくなる。
ひとつは手続きの型や。管財事件になるか、同時廃止になるか。管財事件になったら、管財人に払う金が別に要る。「五分五分」と言われたのは、こっちの話や。
もうひとつは免責が下りるかどうか。借金が実際に消えるかどうかの話や。こっちは五分五分とは言われてない。
免責不許可事由があると、裁判所が事情を調べる必要があると見て、管財人を付けることがある。俺の事由は、ちょうどその分かれ目にあった——先生の「五分五分」は、そういう意味やったと思っとる。
結果から書いとく。手続きは同時廃止になって、免責も下りた。そして待っとる間、俺はそんなに怖くなかった。夜も普通に眠れとった。
ただし最初に言うとく。俺は下りた。全員が下りるとは限らん。ここは絶対に約束できん話や。
これは制度の説明やない。「免責不許可事由がある」と弁護士に言われた側が、そこから何を考えて、どう過ごして、どうなったかの記録や。制度の解説は検索したらいくらでも出てくる。けど、言われた側の温度はどこにも書いてなかった。
「五分五分ですかね〜」と言われた日
場所は法律事務所。対面やった。
債務の内容を、先生に一通り話し終わったところやった。どこからいくら借りて、どういう経緯でこうなったか。それが全部済んで、これから裁判所に申し立てるっちゅうタイミングや。
そこで言われた。
「管財になるかは五分五分ですかね〜。頑張ります」
管財事件になるかどうか、っちゅう話や。免責が下りるかどうかが五分五分、っちゅう意味やない。
温度感は、深刻やなかった。「なるほど〜。これがちょっとひっかかるかもですね〜」っていう感じや。重い宣告っちゅうより、事務的な見通しの共有やった。
で、その時に俺が正直思ったことを書いとく。
「管財事件になってもしゃーない。けど同時廃止やったら嬉しいな」
それだけや。
なんでかっちゅうと、同時廃止で済んだら金が丸々浮くからや。管財事件になったら、管財人に払う金が別に要る。そのために毎月積み立てとった金が、そのまま自分の手元に残るんか、出ていくんか。俺の頭にあったのはそこやった。
「免責されへんかったらどうしよう」やない。「金が残るか、残らんか」や。
なんで、そんなに怖くなかったんやろ
今から振り返ると、理由は2つあった。
① 最悪のケースを、最初に聞いとった
相談を始めた段階で、先生から管財事件になったら管財人への報酬が別に要ると説明を受けとった。
つまり、悪い方に転んだ時に何が起きるかを、俺は先に知っとった。
払わなあかんかったら、しゃーない。払わんで済んだら、ラッキー。その2択やと分かっとる状態やった。
② 「そのための積立」を、すでにやっとった
これがデカい。
最悪のケースに備えて、毎月金を貯めとった。つまり手が動いとった。
これが一番効いたと思う。不安が「毎月やること」に変換されとったんよ。
「どうなるんやろ」っていう思いが無かったわけやない。あった。けどそれは「管財人が付いたら、どんな話をしていくことになるんやろ」っていう程度の想像で、悩みっちゅうほどのもんやなかった。
免責そのものについても、正直あんまり不安やなかった。
先生から「免責不許可事由」っちゅう言葉自体は聞いとった。けど「免責が無理になることも考えといてください」とは言われへんかった。
やから俺は、勝手に「破産自体は大丈夫なんやろな」と思っとった。
ここは正直に書くけど、これは根拠のある確信やない。ただの楽観や。結果的に当たっただけの話で、「言われへんかったから大丈夫」なんて理屈は成り立たん。そこは間違えんといてほしい。
それでも、俺が言いたいことはひとつある。
怖さが一番デカいのは、手続きの外におる時や。
相談に行く前。誰にも言えてない時。スマホで「免責 されない」って調べとる時。あの時が一番しんどい。
中に入ってしまうと、怖さは段取りに変わる。金額と、毎月の作業になる。それはもう、怖さやなくて予定や。
積立の額は、俺が言った額やった
ここ、知らん人が多いんちゃうかと思うから書いとく。
管財事件のための積立、金額は先生から指定されたわけやない。
言われたのはこれやった。
「実際どれくらい貯めれそうですか?」
で、俺が答えた。
「月15,000円ですかね」
それで決まった。
結果、70,000円くらい貯まったところで先が見えた。
「いくら用意せなあかんのか分からんから動けん」——そう思って止まっとる人がおるなら、これは知っといたほうがええ。額は、自分の払えるところから決められる。いきなり大金を突きつけられるわけやない。
「無事、同時廃止となりました」
先生からメールが来た。
裁判所に行く日程の連絡と一緒に、「無事、同時廃止となりました」と書いてあった。
正直に言う。この時が、一番嬉しかった。
後で書く免責決定の連絡より、こっちの方が感情が動いた。
なんでか。積み立てた70,000円が、そのまま自分の金として残ったからや。
先に書いとく。申し訳ないっちゅう気持ちはある。情けないとも思う。返さなあかん金を踏み倒しとるんやからな。それは今もずっとある。
そのうえで、正直に書く。あの連絡をもらった時に動いたのは、金のことやった。
頭の中が、ずっと金の心配で埋まっとる。やから、まとまった額が手元に残った。それだけで嬉しかった。単純な話や。
申し訳なさと、金が残った嬉しさは、同時にある。片方が片方を消してくれたりはせん。
あの70,000円は、そのまま生活防衛費にした。手をつけずに残した。破産した直後の人間が持っとける現金なんて、それくらいしかないからな。
裁判所は、ほんの数秒で終わった
「裁判所に行く」で身構えとる人がおると思うから、見たままを書く。
場所は、テレビで見たことあるような場所そのままやった。想像と違うことはなかった。ただ、意外と狭いなとは思った。
おったのは、破産した人が10名くらい。それぞれの弁護士。そして裁判官。
進み方はこうやった。
一人ずつ名前を呼ばれて、前に出る。
聞かれるのは、提出した報告内容に相違がないか。それだけ。一人ずつ聞かれる。
俺が言うたのは、この一言や。
「はい。相違ございません」
以上。ほんの数秒で終わった。
追及されるとか、責められるとか、その場で新しい説明を求められるとか、そういうことは一切なかった。
たぶんやけど、事前に先生とかなり詰めて話してあるから、その場は確認だけなんやろなと思った。書類の段階で全部済んどるんよ。
免責が下りた日、俺は仕事しとった
裁判所に行ってから、約2週間後。
先生からメールが来た。免責が下りた、と。
普通に仕事中やった。
単純にホッとして、めちゃくちゃ嬉しかった。先生に感謝しかなかった。
で、その後どうしたか。
誰にも言うてない。
破産したこと自体、周囲には隠しとる。今もや。あの日、人生の区切りみたいな連絡を仕事中に受け取って、俺が言えた相手は、先生へのお礼のメールだけやった。
申し立てから免責決定まで、2ヶ月くらいやったと思う。
制度の話は、確認できた範囲だけ書く
免責不許可事由は、破産法252条1項に並んどる。11個ある。財産隠し、特定の債権者への優先返済、浪費やギャンブル、嘘をついての借入、過去7年以内に免責を受けとる場合——などや。
で、大事なんはここや。
同じ252条の2項に、こう書いてある。1項の事由に当たる場合でも、裁判所が破産に至った経緯その他一切の事情を考慮して相当と認めるときは、免責を許可することができる。
これが裁量免責と呼ばれるやつや。俺のケースがこれに当たるんかどうか、正直、先生から「裁量免責です」とはっきり言われた記憶はない。やから断定はせん。
条文は誰でも読める。e-Gov法令検索の破産法で252条を見てくれたらええ。
ひとつ、あえて書かんことにしたもんがある。免責が不許可になる割合の数字や。
調べると「96%は許可される」「不許可は2%」「3%」と、サイトによって数字が違う。一次資料で自分が確認できんかったから、この記事では数字を出さん。俺が確認できてないもんを、あんたの判断材料にしてほしくないからな。
今、免責が下りるか不安なあんたへ
俺が体験から言えることは、3つだけや。
① 弁護士に、事由を隠さんこと
俺は借金の質について、正直に全部話した。だから先生は「五分五分」っちゅう見通しを立てられた。
隠した方が危ない。先生が見通しを立てられんくなるからや。
② 「いくら貯めれる?」には、正直に答えてええ
額は自分から言える。無理な金額を言う必要はない。払える額から始まる。
③ 一番怖いのは、まだ相談してない今や
俺が怖くなかったのは、強いからやない。説明を受けて、やることが決まっとったからや。
相談に行くまでは、情報が無いから想像が膨らむ。行ってしまえば、金額と日程になる。それだけの違いやけど、体感は全然ちゃう。
最後にもう一回書いとく。俺は免責が下りた。けど、全員が下りるとは限らん。俺のケースは俺のケースや。あんたのケースは、あんたの話を全部聞いた専門家しか判断できん。
それでも——「五分五分ですかね〜」と言われた人間が、普通に眠れて、数秒で裁判所を出て、2週間後に免責をもらった。そういう例が一つある、っちゅうことは伝えとく。
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自己破産・個人再生まで考えとる人へ
借金額が多い場合(140万円超)、自己破産や個人再生を検討してる場合は、弁護士に相談するんがええ。司法書士は140万円以下しか扱われへんから、複雑なケースは弁護士の方が安心や。
イストワール法律事務所は債務整理に専門特化した事務所で、闇金対応もやっとる。俺がD0で書いた闇金被害みたいなケースでも対応してくれる数少ない事務所や。
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なお、借金が140万円以下で任意整理だけで足りそうなら、司法書士でも対応できる。費用も弁護士より抑えられる傾向にある(アース司法書士事務所の無料相談)。ただしこの記事を最後まで読んで自分と重なった人は、たぶん弁護士側や。
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最後に
「管財になるかは五分五分ですかね〜」と言われた人間が、普通に眠れて、裁判所では「はい。相違ございません」の一言で終わった。
不安の大きさは、状況の悪さやなくて情報の少なさで決まるんやと思う。
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